こんにちは! 工藤一郎国際特許事務所です。日銀、東証、日経グループ、金融機関、大手技術系メーカーと多数の特許価値評価・知財戦略分析に関する取引実績があります。このブログでは特許価値評価や知財戦略分析に関する情報を提供しています。
今回は電気自動車関連の特許から見た有力企業ランキングを紹介します(本記事の内容は2022年6月時点のものとなります)。
- 企業の成長性(株価)の先行指標となるYK値のランキング
- 今注目の電気自動車業界!
- YK値の高い特許も併せて紹介
企業の成長性(株価)の先行指標となるYK値のランキングです。YK値は企業の特許価値を評価する今注目の指標です。YK値の説明はこちらから。
今注目の電気自動車業界
電気自動車は走行時に二酸化炭素を排出せず、駐車時には再生可能エネルギーを蓄える電池としても使用できることから、脱炭素社会へむけての最重要製品として大きな注目を集めています。
その一方で、電気自動車には従来のガソリン車と比べた場合に、明らかな欠点がいくつか存在しており、これが普及を妨げる要因になっています。例えば、電気自動車はガソリン車と比較すると一度の走行可能距離が短く、電気エネルギーを充電するための時間は長く、それにも関わらず一般にガソリン車よりも高価格です。さらなる普及には、バッテリの改良や、新しい充電方式、コストダウンに関する技術革新が必要と考えられ、自動車メーカーの研究開発もこの点に集中しています。
注目の電気自動車ですが本格的な普及にはもう少し時間がかかりそうです
電気自動車のイメージ 出典: Adobe Stock 作成者: fotomek
国際競争の観点から見ると、米国の電気自動車専門メーカーであるテスラモーターズが一歩リードしている状況ですが、国内でもトヨタ自動車が電気自動車へ注力する方針を発表するなど大きな動きがあります。また、電気自動車の重要部品であるモータやパワー半導体、リチウムイオン電池、全固体電池などは日本企業が強い分野でもあり、今後は日本勢の活躍が大いに期待できる分野であるといえるでしょう。
全固体電池ができれば一発逆転! でも簡単ではないようです…
企業特許力ランキング(YK値ランキング)
電機自動車の特許に関する有力企業ランキング(本技術分野のYK値が高い企業)は、以下の通りです。
No | 証券コード | 企業名称 | 同技術分野 関連YK値 |
1 | 7203 | トヨタ自動車㈱ | 270.06 |
2 | 6902 | ㈱デンソー | 66.77 |
3 | 7012 | 川崎重工業㈱ | 42.11 |
4 | 7272 | ヤマハ発動機㈱ | 41.16 |
5 | 7259 | アイシン精機㈱ | 33.19 |
トヨタが一位です。実は電気自動車の技術力も高いのです
本ランキングでは、電気自動車に関連する特許を国際特許分類(IPC)を使用して選び出し、集計しています。国際特許分類(IPC)とは世界中で共通して使われている特許の分類コードで、特許には必ずついているものです。細かくは数万種類もありますので、網羅的で詳細な分類が可能です。
本記事では、ビッグデータを分析し、電気自動車と関連する国際特許分類IPCを少し広めにとっています。
特許のご紹介(YK値の高い特許)
本技術分野の高YK値特許をピックアップすると以下の通りです。
証券 コード | 企業名 | 特許番号 | 発明の名称 | 同技術分野 関連YK値 |
7203 | トヨタ自動車㈱ | 4453741 | 電動車両および車両用給電装置 | 14.06 |
6902 | ㈱デンソー | 5735614 | 無線電力伝送システム、送電ユニットおよび受電ユニッ | 57.48 |
7012 | 川崎重工業㈱ | 5898778 | 電動車両の組立方法及び組立管理方法 | 42.11 |
今後、電気自動車の普及に従い、さらにYK値が高くなっていくでしょう
本技術分野の係争のうち、有力上場企業が関連しているものとして、以下のような係争があります。
審判番号 | 種別 | 攻撃側 → 防御側 | 結果 | 発明の名称 |
2016-700948 | 一部 異議 | 個人 → 川崎重工業㈱ | 不成立 | 電動車両の組立方法及び組立管理方法 |
特許の係争があるということはそれだけ重要な技術だということですね。
工藤一郎国際特許事務所では様々な特許の分析レポート・価値評価レポートを提供しています。
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以上